
トラバース測量
(解放・結合・閉合)
トラバース測量(多角測量)は、いくつかの点を結んでできた折れ線の長さと角度を測ることで、未知の点の座標を求める手法です。
【操作説明】
はじめに「サンプル測点(トラバース測量).csv」をダウンロードしてください。
※サンプル測点の平面直角座標は9系(東京都、福島県等)です。
※「工事測量用電卓」に初期設定されているサンプル測点の平面直角座標は6系(京都府、大阪府等)です。
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「工事測量用電卓」の下部にある「座標リスト」タブを選択します。
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「座標リスト」の上部にある「適用」タブを選択します。
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「測点ファイル」ボタンを押下してダウンロードした「サンプル測点(トラバース測量).csv」を適用します。
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地図のズームレベルの調整は、「工事測量用電卓」の下部にある「設定」タブを選択し、座標リストの「ズームレベル」を設定します。



1. 計算条件
計算を始める前に、以下のデータが揃っている必要があります。
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基準点座標:出発点(および結合トラバースの場合は終点)の X, Y 座標。
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方向角(基準):出発時における基準となる方向。
次は、測点毎の繰り返しになります。
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水平角(夾角): 隣り合う測線がなす角度。
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距離:測点間の水平距離。
2. トラバース測量の種類
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解放トラバース:未知の点に向かい延々と伸ばす。
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結合トラバース:既知点Aから出発し、別の既知点Bに繋ぐ。
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閉合トラバース:出発点からぐるっと回って出発点に戻る。
3. 基本計算式
計算は「方向角(夾角) → 距離 → 座標」の順に進めます。
① 次の方向角を計算する。
前の方向角に観測した夾角(α)を足し引きして求めます。
方向角 = 前の方向角 ± 180°+ α
② 座標増分の算出
ΔX = L・cos(α) ΔY = L・sin(α)
③ 新点Pの座標算出
XP = X + ΔX YP = Y + ΔY
4. 実務上のポイント
誤差の配分(コンパス法則とトランシット法則機能あり):
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測量には必ず誤差が伴います。閉合・結合トラバースでは、最後に「出発点(または終点)の座標と一致するか」を確認します。
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ズレ(閉合差)が許容範囲内であれば、各測線の距離に応じて誤差を割り振り、座標を補正します。
角度の確認(内角の和):
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閉合トラバースの場合、多角形の内角の和は 180°× (n - 2) になるはずです。
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計算の途中でこれを確認するだけで、大きなミスを防げます。
現場での「視通」確保:
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計算以前に、前の点と次の点がしっかり見える(視通がある)ことが大前提です。
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障害物で見えない場合は「逃げ(偏心)」が必要になり、計算が格段に複雑になるため、事前の踏査が最も重要です。
5. 閉合誤差
公共測量(1級〜4級)における、閉合誤差の制限は次の通りです。
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1級:配点(角)誤差 30"√n、閉合比(距離)1/20,000
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2級:配点(角)誤差 60"√n、閉合比(距離)1/10,000
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3級:配点(角)誤差 90"√n、閉合比(距離)1/5,000
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4級:配点(角)誤差 120"√n
6. 閉合誤差の調整方法
「何に誤差が含まれていると考えるか」によって以下の2つの法則を使い分けます。
■コンパス法則(Compass Rule)
距離と角度の両方に同程度の誤差があると仮定する方法です。
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特徴: 距離が長い辺ほど、誤差を大きく割り振ります。
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調整方法: 緯距(南北)および経距(東西)の誤差を、各辺の長さに比例して配分します。
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場面: 距離測定と角測定の両方に一定の精度がある一般的な測量。
■トランシット法則(Transit Rule)
距離よりも角度の測定精度が高い(角度の誤差は無視できるほど小さい)と仮定する方法です。
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特徴: 緯距・経距の値そのものが大きい辺に、誤差を大きく割り振ります。
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調整方法: 緯距・経距の誤差を、各辺の緯距・経距の絶対値に比例して配分します。
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場面: トータルステーションを用いて非常に精密に角度を測定し、距離測定の方に誤差が生じやすい場合。

トラバース(解放・結合)
多角測量(解放・結合トラバース)による求点の座標と方向角を計算します。
1. 観測手順
「測点1」から出発し「測点4」に結合するトラバースを計算します。
はじめに「測点1」にトータルステーション(以下、「TS」といいます)を設置します。起点または視準点から「測点2」の「方向角」と「距離」を観測します。
次に、TSを「測点2」に設置して「測点1」を視準して「測点3」への夾角と距離を観測します。
最後に、TSを「測点3」に設置して「測点2」を視準して「測点4」への夾角と距離を観測します。結合する場合は、「測点4」を結合点にし、トランシット法則(又は、コンパス法則)を使用して角度調整します。

2. 計算手順
【入力値:基準点座標~測点1】
※平面直角座標は、9系(東京都、福島県等)です。
※小数点以下の桁数:3桁
※丸め処理:四捨五入
①基準点座標:「座標リスト」から「測点1」を選択します。または、X = -43544.473, Y = -2494.313を入力します。
②方向角:57°57' 09"、距離:67.278mを入力します。
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測点2座標:X = -43508.774, Y = -2437.288
※「座標リスト」の「測点2」の座標になります。
【入力値:測点2】
③[測点追加]ボタンを押下し、測点を追加します。
④【計算結果】
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方向角:199°19' 03"
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距離:57.148m
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座標増分:ΔX = 12.593, ΔY = 55.743
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測点3座標:X = -43496.181, Y = -2381.545
※「座標リスト」の「測点3」の座標になります。
【入力値:測点3】
③[測点追加]ボタンを押下し、測点を追加します。
④【計算結果】
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方向角:277°51' 59"
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距離:70.696m
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座標増分:ΔX = -40.687, ΔY = 57.814
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測点4座標:X = -43536.868, Y = -2323.731
※「座標リスト」の「測点4」の座標になります。
⑤[グラフ表示]ボタンを押下すると計算結果をグラフに表示します。
⑥[Map表示]ボタンを押下すると計算結果をGoogleMapに表示するので視覚的に確認することができます。
⑦[ファイル]ボタンを押下すると計算結果をXMLファイル形式で保存・読込みすることができます。


トラバース(閉合)
多角測量(閉合トラバース)による求点の座標と方向角を計算します。
1. 観測手順
「測点1」から出発し「測点2」「測点3」「測点4」「測点5」と「測点6」を経由して「測点1」に閉合するトラバースを計算します。
はじめに、「測点1」から「測点4」までの観測手順は、トラバース(解放・結合)からの続きになります。
次に、TSを「測点4」に設置して「測点3」を視準して「測点5」への夾角と距離を観測します。
最後に、TSを「測点5」に設置して「測点4」を視準して「測点1」への夾角と距離を観測します。トランシット法則(又は、コンパス法則)を使用して角度調整します。

2. 計算手順
「測点1」から「測点3」までの観測手順は、トラバース(解放・結合)からの続きになります。
※平面直角座標は、9系(東京都、福島県等)です。
※小数点以下の桁数:3桁
※丸め処理:四捨五入
【入力値:測点4】
③[測点追加]ボタンを押下し、測点を追加します。
④【計算結果】
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方向角:276°43' 28"
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距離:105.711m
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座標増分:ΔX = -78.730, ΔY = -70.543
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測点4座標:X=-43615.598, Y=-2394.274
※「座標リスト」の「測点5」の座標になります。
【入力値:測点5】
③[測点追加]ボタンを押下し、測点を追加します。
④【計算結果】
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方向角:248°56' 16"
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距離:66.052m
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座標増分:ΔX = 23.454, ΔY = -61.748
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測点4座標:X = -43592.144, Y = -2456.022
※「座標リスト」の「測点6」の座標になります。
【入力値:測点6】
③[測点追加]ボタンを押下し、測点を追加します。
④【計算結果】
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方向角:210°25' 44"
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距離:61.145m
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座標増分:ΔX = 47.671, ΔY = -38.291
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測点4座標:X = -43544.473, Y = -2494.313
※「座標リスト」の「測点1」の座標になります。
【閉合誤差】
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測線長の合計 = 428.030m
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閉合誤差(Ea)= 0.000
※計算例のため、閉合誤差がありません。実際の測量では、誤差が生じるのでトランシット法則等で調整します。
⑤[グラフ表示]ボタンを押下すると計算結果をグラフに表示します。
⑥[Map表示]ボタンを押下すると計算結果をGoogleMapに表示するので視覚的に確認することができます。
⑦[ファイル]ボタンを押下すると計算結果をXMLファイル形式で保存・読込みすることができます。
