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偏心補正
(正弦定理:偏心角・水平角、余弦定理:偏心角・水平角)

偏心補正は、障害物(樹木、フェンス、建物の角など)により、真の測点(境界点など)に直接プリズムを設置できない、あるいは見通しが効かない場合に不可欠な手法です。

真の測点の近傍に観測可能な「偏心点」を設け、そこでの観測結果と偏心点〜真の測点間の幾何学的関係(偏心要素)を用いて、真の測点の座標や方向角・距離を間接的に算出(帰心計算)します。

ラジアン定数(2.0*10^5)に固定して計算することもできます。

1. 計算条件

​偏心計算を成立させるためには、次の要素が観測または計測されている必要があります。

観測要素:

  • 機械点から偏心点までの観測距離(L')と観測方向角。

偏心要素:

  • 偏心点から真の測点までの偏心距離(e)

  • 偏心角(α)

  • 偏心角は、機械点方向を0度としたときの真の測点方向への角度(またはその逆)として定義されます。

2. 基本計算式

機械点(B)、真の測点(A)、偏心点(e)からなる三角形をベースに解説します。

  • L:真の距離(B から A までの距離)

  • L':観測距離(B から e までの距離)

  • e:偏心距離(A と e の間の距離)

  • α:偏心角(偏心点 e における、機械点 B と真の測点 A のなす角)

  • x:補正角(機械点 B における、真の測点 A と偏心点 e の方向角の差

①真の距離の算出(余弦定理の適用):

  • L = SQRT(L'^2 + e^2 - 2L'e cos α)

②補正角の算出(正弦定理の適用):

  • x = arcsin(e・sin α / L )

③真の方向角の決定:

  • 観測方向角に対し、偏心が左側か右側かに応じて補正角 x を加減算し、真の方向角を決定します。

2. 実務上のポイント

誤差の最小化(距離の制約):

  • 偏心距離 e は、観測距離 L' に対して十分に短く取る必要があります。

  • 一般的に、e が L' の数パーセント以内に収まるよう計画することで、角度観測の誤差が結果に与える影響を抑制できます。

偏心角の配置:

  • 距離の精度を優先する場合は偏心角 α を0度または180度近く(視準線上に配置)に角度の精度を優先する場合は90度または270度近くに設定するなど、目的に応じた偏心点の選定が求められます。

左右の取り違え防止:

  • 現場での最大のヒューマンエラーは「偏心が観測線に対して右か左か」の記録ミスです。

  • 野帳(手簿)への略図記入を徹底し、計算機やアプリへ入力する際の符号(プラス・マイナス)の整合性を必ず確認します。

正弦定理:偏心角

DecenteringAngle.png

偏心点における角度(α)と、それに対する辺(真の距離 L )、および補正角(x)と偏心距離(e)の関係を示します。主に、真の距離 L が既知、または概算できる場合に、補正角 x を求めるための基礎となります。

  • L / sin α = e / sin x

正弦定理:水平角

DecenteringHorizontalAngle.png

機械点における補正角(x)を直接求めるための変形です。観測から真の方向角を決定する際に最も頻繁に用いられるアプローチです。

  • sin x = e・sin α / L

余弦定理:偏心角

DecenteringAngle2.png

偏心点における角度(α)を挟む2辺(観測距離 L' と偏心距離 e)から、対辺である「真の距離 L」を算出します。実務において最も利用頻度が高い基本式です。

  • L^2 = L'^2 + e^2 - 2L'e cos α

  • L = SQRT(L'^2 + e^2 -L'e cos α)

余弦定理:水平角

DecenteringHorizontalAngle2.png

機械点における補正角(x)を挟む2辺(真の距離 L と観測距離 L')から、偏心距離 e の関係性を表します。逆算的に誤差の検証を行う場合や、機械点での角度に基づく解析に用います。

  • e^2 = L^2 + L'^2 - 2LL' cos x

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