
単心曲線
(偏角弦長法、中央縦距法、接線支距法)
偏角弦長法
トータルステーション(TS)を使用して、円曲線の始点(BC)または終点(EC)から、曲線上の任意の測点を設置する際に使用する最もスタンダードな手法です。 交会点(IP)や曲線の中心(O)に障害物があり、直接視準できない現場や長距離の曲線設置において威力を発揮します。
中央縦距離法
曲線上の2点間を結ぶ弦(主弦)を基準に、その弦の中央から曲線に対する垂直距離(縦距)を計算し、曲線を設置する手法です。 TSなどの角度測定機器がない場合や巻尺(テープ)のみで簡易的に曲線を復元・確認したい場合に非常に便利です。道路の縁石のR部分の施工や短い曲線の丁張設置などでよく利用されます。
接線支距法
曲線の始点(BC)または終点(EC)における接線を基準線(X軸)とし、そこからの直角距離(Y軸:支距)を用いて曲線を設置する手法です。 接線方向に十分な作業スペースが確保できる現場で有効です。計算がシンプルであり、巻尺を用いた手作業での測設にも適しているため、歩道の切り開きや小規模なカーブの設置などで重宝されます。
偏角弦長法
偏角σの視準線上と曲線との交点Pを求めて曲線設置を行います。

1. 基本計算式
曲線半径を R 、始点から任意の測点までの弧長を l とした場合
-
偏角:σ = l / 2R × 180°/π(度数法)
-
弦長:C = 2R sin(σ)
2. 計算例
※小数点以下の桁数:3桁、丸め処理:四捨五入
交点(IP)までの追加距離が6.5km、交角が38°30'00"、曲線半径Rが450mの円曲線の主要点と測点間隔(20m)を計算します。
【入力値】
①交角:38°30'00"
②交点(IP)までの距離:6,500(m)
③曲線半径(R):450(m)
④測点間隔(m):20(m)
【計算結果】
-
接線長 (TL): 157.147 m
-
曲線長 (CL): 302.378 m
-
外線長 (SL): 26.650 m
-
BC 位置: No.317 + 2.853 m
-
始短弦長 (l1): 17.147 m
-
EC 位置: No.332 + 5.231 m
-
終短弦長 (l2): 5.231 m
-
始短弦偏角 (δ1): 1°05’30”
-
中間短弦偏角 (δ0) (l=20 m): 1°16’24”
-
終短弦偏角 (δ2): 0°19’59”
【検算】※自動的に検算します。
-
BCからECまでの測点数 (中間): 14
-
各短弦偏角の合計 (Σδ): 19°15’00”
-
交角の半分 (IA/2): 19°15’00”
-
誤差 (Σδ - IA/2): 0°00’00”

3. 実務上のポイント
-
誤差の累積に注意:機器の据え付け地点から連続して測設するため、角度のわずかなズレが終点側で大きな位置誤差を生む可能性があります。
-
計算結果を用いて、必ず中間点や終点(EC)での閉合確認を行うことが重要です。
-
視準線の確保:現場の地形に合わせて、適切な弦長(5mピッチ、10mピッチなど)を設定し、視通が確保できる計画を立てましょう。
中央縦距離法
最初に中央縦距(M1)を求め、次に入力した間隔の中央縦距(Mi)を計算します。

1. 基本計算式
曲線半径をR、主弦の長さをC、弦の中心からの距離を x とした場合
-
中央縦距:M = R - SQRT(R^2 - (C / 2 ^2))
-
任意の点Pにおける縦距:y = SQRT(R^2 - x^2) - (R - M)
2. 計算例
※小数点以下の桁数:3桁、丸め処理:四捨五入
交角が38°30'00"、曲線半径Rが450mの円曲線の分割数が8の場合を計算します。
【入力値】
①交角:38°30'00"
②曲線半径(R):450(m)
③分割数(m):8 (n>4 偶数)
【計算結果】
-
測点1:Mn = 25.160m, Cn = 296.722m
-
測点2:Mn = 6.335m, Cn = 150.479m
-
測点3:Mn = 1.586m, Cn = 75.506m

3. 実務上のポイント
基準となる弦の確保:
-
主弦上に障害物がないことが前提となります。
-
現場の地盤面が平坦でない場合は、巻尺を水平に保つ工夫が必要です。
直角の精度:
-
弦から縦距を測る際、正確な直角を出すことが精度に直結します。
-
目測ではなく、ピタゴラスの定理(3:4:5)を用いて正確に直角方向に距離を測るよう心がけてください。
接線支距法
曲線始点Aと交点I.P.を結ぶ線をX軸、垂直方向をY軸にして座標を計算します。接線支距法は、接線からのオフセットにより測設法と呼ばれることもあります。

1. 基本計算式
曲線半径を R、中心角(または計算したい点までの偏角の2倍)を θ とした場合:
-
接線長(x方向の距離):x = R sin(θ)
-
支距(y方向の直角距離):y = R(1 - cosθ) = R - SQRT(R^2 - x^2)
2. 計算例
※小数点以下の桁数:3桁、丸め処理:四捨五入
曲線半径Rが450mの円曲線に測点間隔20m毎の垂直線を4測点分計算します。
【入力値】
①曲線半径(R):450(m)
②測点間隔(Si):20(m)
③測点数(n):5
【計算結果】
-
測点1:
-
偏角(σ):1°16'24"
-
Xn = 19.995m, Yn = 0.444m
-
-
測点2:
-
偏角(σ):2°34'47"
-
Xn = 39.961m, Yn = 1.777m
-
-
測点3:
-
偏角(σ):3°49'11"
-
Xn = 59.867m, Yn = 3.997m
-
-
測点4:
-
偏角(σ):5°5'35"
-
Xn = 79.684m, Yn = 7.102m
-
-
測点5:
-
偏角(σ):6°21'58"
-
Xn = 99.383m, Yn = 11.088m
-

3. 実務上のポイント
線から離れるほど誤差に注意:
-
BC(またはEC)から遠ざかり、中心角θが大きくなるにつれて支距(y)が長くなります。
-
支距が長くなると直角方向を維持するのが難しくなり、誤差が出やすくなります。
測設の切り替え:
-
支距が長くなりすぎる場合は、精度を保つために反対側のECからも同様に設置を行うか、偏角弦長法など別のアプローチに切り替える判断が実務では求められます。